今回は日本におけるオキシトシン研究の第 一 人者・高橋徳先生にお話を伺いました。オキシトシンは体内で分泌されるホルモンの 一 つで、さまざまな健康効果がありストレスの多い現代人の強い味方です。誰にでも簡単に増やせる方法を教えていただきました。
消化器外科から研究者へ
5人兄弟の長男として生まれた私は、両親が医者だったので同じ道に進むのは宿命のようなものでした。
医学部の6年間は「こういう病気があり、それに対する第一選択の薬はこれ」の繰り返しでしたね。消化器外科医を10年勤めましたが思うように治療の効果が出ず、西洋医学の限界を感じていました。
そこで、医学を総合的に学び直したいと、40歳になる前に思い切って渡米しました。アメリカも西洋医学が主体ですが、多くの有名大学では補完医療として東洋医学を教えていたことに驚きました。医者が鍼灸や漢方、ヨガ、気功などを治療の一つに考え、患者さんへ盛んに勧める風潮ができていたのです。
私は複数の大学で研究を20年間行い、最初の10年は鍼治療の効果について取り組みました。体に鍼を打つと治癒によい物質が出ますが、それを学問的に解明していったのです。
次に、ストレスが胃腸にどう影響を与えるかについて取り組みました。ストレスによって不調が起こる人がいる一方、元気な人もいます。そうして研究していく中で「オキシトシン」というホルモンに出会い、その健康効果が明らかになっていきました。
帰国後は、理想の医療を目指してクリニックを開業しました。11階建ての最上階にあり、窓からの眺めは自然豊かでいい景色です。都会では自然の音が失われているので、風鈴を置いて癒しの場となるようにしています。患者さんはここを病院だと思っていないですよ(笑)。
PROFILE
高橋 徳(たかはし とく)
統合医療クリニック徳院長。アメリカ・ウィスコンシン医科大学名誉教授。医学博士。1977年神戸大学医学部卒業。消化器外科医として勤務後、1988年アメリカに渡る。ミシガン大学助手、デューク大学教授を経て、2008年よりウィスコンシン医科大学教授に就任。アメリカ時代の研究テーマ「ストレス」を進める過程でオキシトシンと出合う。それ以来、10年以上に渡りオキシトシンの研究を行い、論文を発表。帰国後は国内のオキシトシン研究の第一人者として日々研究を続ける。2013年に郷里の岐阜県で統合医療クリニック「高橋医院」を、2016年に愛知県で分院「統合医療クリニック徳」を開業。
主な著書に『人は愛することで健康になれる』(知道出版)、『オキシトシン健康法』(アスコム)、『1日1分押すだけ! 医師が考案した くすりツボ』(かんき出版)など。


