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この人に聞きたい 「健康長寿は自律神経・血流・筋力で決まる」 順天堂大学医学部教授・日本体育協会公認スポーツドクター 小林弘幸さん

今回はテレビ出演や執筆など多方面でご活躍中の小林弘幸先生です。順天堂大学の教授室でインタビューに応じてくださいました。取材日は偶然にも小林先生監修のアプリがリリースされる日で、「自律神経をもっと意識して体調管理に活かしてほしい」という思いをお話しいただきました。


小林弘幸さん

自律神経を研究

私は学生時代に野球やラグビーなどスポーツに打ち込んできました。そして、運動中に緊張するときとしないときがあったり、身体を休めていても体調が悪くなるときがあったりするのを不思議に思っていました。

医者になり人体のメカニズムがいろいろと見えてくると、学生時代に抱いていた疑問の答えには自律神経が関わっていたということが分かりました。その後は日本で初となる便秘外来を開設し、現在は自律神経について研究しながらアスリートの指導に携わっています。

人間が生きるために必要なのは、基本的に食事と呼吸だと考えています。そのどちらかが欠けると死んでしまいますが、どうも呼吸はないがしろにされがちだと感じています。お金を支払うので食べ物については意識しやすいのですが、呼吸はタダですから意識しにくいんです。でも、自律神経をコントロールしているのは呼吸なんですよ。

健康を保つには、呼吸を意識できるかどうかにかかっていると思います。

健康は腸と自律神経による

私の健康の定義は「身体の中にある1つ1つの細胞に、どれだけ質のよい血液を流すことができるか」です。血液の質に関係するのは腸内環境ですが、血液を十分に流すことができるかどうかは血流をコントロールしている自律神経にかかっています。腸内環境をよくするには、食物繊維や発酵食品で善玉菌を摂るといいですね。自律神経の働きをよくするためには睡眠や食事、入浴、日々の運動などの生活習慣が大切になります。

ところで、自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経はアクセルの働きをしていて、心身を戦闘モードにします。優位になると心拍数や血圧が上がり、呼吸が速くなって大きな力を生みだせる状態になります。一方、副交感神経はブレーキの働きをしていて、身体がくつろいでリラックスした状態になるのは副交感神経のおかげです。

理想的な自律神経のバランスは、日中の活動時は交感神経が少し高く、夜間は副交感神経が少し高い状態です。これまで大勢の自律神経を測定してきましたが、健康な人はだいたいこのバランスでした。自律神経は過労やストレス、睡眠不足などによってバランスが崩れます。今はストレス社会だといわれるほどですから、生きていれば自律神経のバランスが乱れるのは仕方がないことかもしれません。しかし、交感神経と副交感神経のどちらかに偏った状態が続くと、病気や健康面でのトラブルの原因となります…

...続きは遊和33号でご覧ください。

小林弘幸さん

PROFILE

小林 弘幸(こばやし ひろゆき)

順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。
1960年埼玉県生まれ。92年、順天堂大学大学院医学研究科(小児外科)博士課程を修了。
ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科勤務を経て順天堂大学医学部小児外科講師・准教授を歴任、現在に至る。
各種研究の中で自律神経バランスの重要性に着目し、日本初の便秘外来を開設した腸のスペシャリスト。
多くのトップアスリートのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にも研究成果が活用されている。自律神経研究の第一人者として著書多数。
そのほとんどがベストセラーを記録し、著書累計出版部数1200万部を超える。

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