今こそ「転ばぬ先」の筋力づくり!

日本の平均寿命は世界一ですが、要介護・要支援状態の高齢者は年々増加しています。超高齢社会を迎えた今、「立ち上がれない」「つまずきやすい」「ものが握りにくい」など、深刻な筋力の低下、「サルコペニア」が問題視されています。
「サルコペニア」とは、加齢に伴い筋力が著しく低下していくことです。言葉の由来はギリシャ語で、「肉」を意味する「サルク(サルコ)」と、「不足や減少」を意味する「ペニア」を合体させて名づけられました。

キッカケは些細な転倒

近年、日常生活の中でちょっとした段差につまずき、転倒して骨折することから寝たきりになるというケースが増えています。特に太ももの付け根の大腿骨頚部の骨折は、そのリスクが非常に高く、年間約11万人以上にも及び、その内20%がそのまま寝たきりになるといわれています。

手術にかかる経済的な負担の大きさと、「どうしてあんな所でつまずいたのだろう」といった本人の後悔が、さらにストレスとなってケガの回復を遅らせることにも繋がりますので、周囲の方々のサポートはとても重要になります。

このような転倒による骨折の背景には、カルシウム不足による骨密度の低下などが挙げられますが、もう一つ意外と知られていない原因に、筋肉量の減少による筋力の低下があります。

カギは筋力にあり

私たちは普段、脳が出す指令を受けて障害物を乗り越えています。 高齢者の転倒はこの指令を受けても筋肉がそのとおり動かないというギャップが生じ、つまずいてしまうことで起こります。

自分ではまだまだ元気だと思い込んでいる人ほど、そのギャップが大きく、転倒したときの危険性が高くなります。

こうした脳と筋力のギャップは、年をとれば多かれ少なかれ誰にでも起こります。しかし、生活していく上で支障をきたすほどの著しい筋力低下に対しては、専門家によって「サルコペニア」という名称がつけられ、現在、研究が進められています。

予防としては、無理なく続けられることを基準に、まずは日常の生活の中で、よく身体を動かすように心がけるところから始めましょう。

筋肉と基礎代謝の関係

サルコペニア(筋力低下)の悪循環筋肉の役割は身体を動かすだけではなく、体液の循環や体温の維持が挙げられます。特に基礎代謝(安静時の消費エネルギー)量は筋肉量と関係が深いため、筋肉量が減ると基礎代謝の低下につながります。

また、筋肉は「糖」を取り込む働きがあるため、筋肉が減ると取り込まれるはずの「糖」が血液中に残りやすくなります。そのため、上昇した血糖値を下げるインスリンが余計に使われることになり、分泌元の膵臓に負担をかけ、糖尿病にも繋がりやすくなるのです。

このように、重要な役割を果たしている筋肉ですが、加齢に伴って著しく減っていくのはどうしてでしょう。

それは、筋たんぱく質は常に合成と分解を繰り返していますが、合成(造る)と分解(壊す)のバランスが崩れて、分解(壊す)が優位になり、徐々に筋肉が減少すると考えられているからです。また、成長ホルモン量の減少なども筋肉の減少に関与するといわれています。

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