濡れたムクドリ
雨の降り続く午後、ふと窓を開けると電線に一羽のムクドリが止っていた。
したたる雫を気に病むこともなく、静かに、じっと雨に打たれ続けていた。
僕なら? 冷たくてイヤだと思うか、風邪を引きたくないと不安に思うか。
ムクドリは、濡れながらも遠い景色に思いを馳せているかのように見えた。
田植えを終えた水盤のような田のことを、緑に覆われた葡萄の畑のことを。
ちいさな頭で、ちいさな体で、しかし、思いの先は僕より遥かに遠かった。
ほどなくして雨は上がり、ムクドリは軽やかに青い空の中へ飛んでいった。
田植えを終えた水盤のような田をめざし、緑に覆われた葡萄の畑をめざし。
どこへとも続く青い空の中に消えていった。
投稿者「ATOM」さん 2009-06-13 06:59:42
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雨上がりの幸せ
バケツをひっくり返したような夕立のあと、南の空に大きな虹が架かった。
車を脇に止めて歩道に立ち、携帯のカメラに虹を収めようと空を見上げた。
気がつくと、僕の周りはちょっとした人だかりができて、皆が雨上がりの
空を見上げて立ち止まっていた。大人も学生も、ちいさな子供たちもが…。
「ほら、見て。虹よ」「ほんとだ!きれい」「メールで教えてあげなきゃ」
よく見ると、散歩中の犬までもがつられて不思議そうに空を見上げている。
この楽しい気分は一体なんだろう…。この幸せな気分は一体なんだろう…。
最上級の楽しさや幸せというのは、老若男女が一緒に味わえるものなのだ。
腰の曲がった婆さんが腰を伸ばして虹を見る。雨でずぶ濡れの学生たちも
くしゃみをしながら虹を見る。面倒な仕事に疲れていた僕も虹を見ている。
目が合うと皆が微笑む。どんなテレビドラマも映画もかなわないと思った。
虹が薄くなるのを見届けて、皆がそれぞれの行き先へと笑顔で歩き出した。
投稿者「ATOM」さん 2009-06-06 02:33:22
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ちちんぷいぷい
幼い頃、冷たいものを食べすぎてお腹が痛くなると
母親が押入れの中から薬箱を出し、赤くてちいさい
つぶつぶの薬をいつも飲ませてくれた。
大きなつぶの薬はのどにつかえて飲みにくいけれど
この赤くてちいさな薬は水と一緒ににスッと飲めた。
のどを通っていくのが楽しいくらいに。
横になったぼくのお腹を、母親はやさしくさすって
「ちちんぷいぷい 痛いの痛いの飛んでいけ~!」
と、笑っておまじないをかけてくれた。
母のおまじないと赤い薬は不思議なほどよく効いた。
友達とけんかをして泣きたくなったとき、ほんとは
お腹なんて痛くないのに、ぼくは母にお腹が痛いと
うそをつき、少し甘えてみたくなった。
「ちちんぷいぷい 痛いの痛いの飛んでいけ~!」
母親のおまじないを聞くと、お腹のすこし上にある
胸の痛みもうそのようにスッと消えた。
お腹が痛いと言うぼくを見て、赤い薬が必要なのか
必要でないのかを、母親はちゃんとわかってくれた。
母の笑顔とちちんぷいぷいと、赤い薬。
幼いぼくを元気にしてくれる、魔法のセットだった。
投稿者「ATOM」さん 2009-05-30 01:24:40
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サーカス団がやってきた
華やかなパレード、鮮やかな曲芸
みんながみんな、ワクワクした
いよいよサーカスが始まった
玉乗り・火くぐり・綱渡り
みんながみんな、ドキドキした
そこに道化師(ピエロ)がやってきた
スッテンコロリン、スットントン
みんながみんな、大笑い
けれども・・・・・・
子供たちはだれも笑っていない
中には泣いている男の子もいる
一人の少女がお母さんに聞いた
「ねえママ。ピエロさんはなんで悲しいお顔をしているの?」
作者名「少年」
投稿者「少年」さん 2009-02-22 00:38:43
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裏山が汗をかいている
春風がとても暖かいからだ
裏山が泣いている
厳冬から開放されるうれし涙だ
裏山が笑っている
雪がとけ思わず口元が緩んでいるからだ
春はもうすぐそこ
ほら、鳥たちも楽しそうにさえずっているよ
作者名「少年」
投稿者「少年」さん 2009-02-12 21:43:51
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